ようこそ。敏子計画、始まるよ。
敏子計画が知りたい方は「敏子計画について」カテゴリへ。
チラシやら映像練習が見たい方は「チラシ・映像」カテゴリへ。
路上での映像が気になる方は「路上の構成」カテゴリへ。
妄想日記が見たい方は「敏子の部屋 名作選」カテゴリへ。
○○的な?で片付けたくないこと、への考えは「…的な?」カテゴリへ。
ちなみに今見てほしいのはコレです。→FUJIYAMA計画の思い出。DTM始めました。試作#7

最近のチラシ
ギターみたいな女の子

2012/04

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

<< >>


お昼には、狂気は笑いになりやすいんですね。
それとも子どもだからなのか。
これは新しい非日常への一歩です。


明後日はお待ちかね、バレンタイン・デイ。
という訳で久々に甘酸っぱいお話でもいかがでしょう。


÷÷÷÷÷÷÷÷÷


いまさら、君の新しい魅力を見つけたって、困ってしまう。
鮮やかな笑顔が黒いふちどりの中で弾けている。
思えば、一緒に写真を撮ったことさえなかったと思う。
ちょこまかと遊び回る君のそばにいつもいたから気付けなかった、君の笑顔のかわいらしさ。
写真の中にいる君のそれは、もう失われることはない。

郁子。
小さく呼び掛けてみる。
返事がないのは、ただのしかばねだから。
あの日…郁子がアナコンダに丸呑みにされた日。
『もって三日』と彼女は言って、それからずっと強酸性の液体と戦い続けた。
ジャングルを抜けるのに二日かかった。
その間も彼女は、獰猛な大蛇の胃袋の中から精一杯の明るい声で、僕に話しかけてくれた。

親戚のミッちゃんが就職浪人という名のニートをしている話、カザフスタンから来日したばかりのケニー氏が日本で感じたカルチャーショックの話、焼きそばの具にパプリカは有りか無しかの私見・・・。
親戚のミッちゃんが子犬を拾った話、その子犬に『ジャッカル』と名付けるまでの紆余曲折、おばあちゃんが『ジャッカルよりジャカルタの方が良い』と言って聞かなかった話、カザフスタンから来日したばかりのケニー氏が昔ジャカルタにいた時のおもしろエピソード・・・。
まずそうなお菓子をおいしそうに食べるミッちゃんの弟の話、今年こそダイエットしたいけど去年も同じこと思っていた話、ハートキャッチプリキュア!がカザフスタンから来日したばかりのケニー氏に与えた影響あれこれ・・・。

『ケニー氏、日本の技術をもってすればプリキュアにだって変身できるはずだ!って、いっつも言ってたなぁ。ふふっ、おかしいよね』
郁子はそう言って、それきり黙ってしまった。
それが僕の聞いた、彼女の最後の声だった。
動物検疫に思いの外手間取って、ジャングルを抜けてから更に三日、郁子がアナコンダの胃袋に納まってからは五日たった、日本へ向かう飛行機の中だった。
人目をはばからず泣いた僕を、『男らしくないね』なんて茶化す彼女はもう、いない。

上等な木箱の中に横たわる巨大アナコンダ。
そしてその胃袋の中に郁子はいる。
僕はちょっと離れた席で、彼女が入っている大蛇の入っている箱を眺めている。
どれぐらいそうしていただろうか、いつの間にか通夜の時間になっていたらしく、ゆっくりと住職が現れた。
淡々と時間は過ぎ、郁子との別れの儀式も淡々と進んでいく。
住職がお経をあげる声も、僕の耳には届かない、ということもなかった。
気付いて、しまったのだ。

『この声は・・・!』

思わず立ち上がる。
「あれ?ご焼香にはまだ早くね?」そう言いたげな顔で隣の人が僕を見る。
確かにまだ、ご焼香をあげるにはまだ早いかもしれない。
だがしかし、ついついご焼香ではなくて声をあげてしまう出来事が起こったのだ。

『この声・・・郁子・・・!』

聞き覚えのある、優しい声。
芯のあるようで柔らかく、ちゃんと耳を傾けなければ聞き逃してしまいそうな、透き通る音色。
軽やかであり、しなやかであり、しかしあまり抑揚のない、僕をからかっているかのようなしゃべり方。

『住職・・・いいや、郁子・・・郁子なんだろ!?』
それでもお経をあげ続ける住職。
思い違い・・・?いや、そんなはずは・・・!そう思った瞬間、弾け飛ぶ木魚。
木っ端が乱れ飛び、住職の握っていたバチは衝撃で吹き飛ばされて天井に突き刺さる。
そしてその中からアクロバティックに飛び出してきたのは、他でもない郁子だった。

『たっくん・・・惜しいっ!』
嬉しそうに、しかしちょっと寂しそうに微笑みつつ着地を決める郁子。
『郁子・・・郁子!木魚だったなんて!』
裏をかかれ不覚を取られた僕と、驚いて言葉を失う郁子のご両親。
それでも動じずお経をあげ続ける住職は、きっとかなりの猛者か、それでなければ事前に打ち合わせ済みのはずだろう。
郁子・・・なんて人だ・・・!やはり僕の恋人、一筋縄ではいかない・・・!
参列者の目もはばからず僕たちは抱擁を交わしながら、そんなことを考えていた。

(これ一体何の茶番だよ・・・)
お通夜の会場は一転どころか一回転して、すさまじいお通夜ムードにつつまれていた。


 

名古屋パルコでやってた、未来ちゃん展を見てきました。
もう去年のことだけど。


写真は大きく分けて、
未来ちゃんの、どアップと、
大きな世界にたたずむ未来ちゃん、
の二種類。

1)
何より未来ちゃん自身が持っているすごいエネルギー。

思いっきり笑う、
思いっきり泣く、
思いっきり変顔、
子どもにしかできないのかもしれない、
思いっきりの表情たち。
そして、子どもとは思えないような目力。

未来ちゃんから溢れている、
むきだしの表現、みたいなものが持つエネルギー、
それを見ているだけで楽しくなるし、
なんだか懐かしいような恋しいような、
そんな気持ちにもなる。

小さな巨人だ。
そんな未来ちゃんをどアップで展示してあるもんだから、
吹き出さずにはいられない。

「力強い目力で見つめるその先には、何があるのかしら?」


2)
未来ちゃんが出会う、大きな世界のエネルギー。

そんな小さな未来ちゃんが出会う、驚きに満ちた世界も、
とても魅力的だった。

都会ではあまり見かけない田舎の様子。
自然に溢れる佐渡。

そこで未来ちゃんは、
大人になったらやらないような(できない?)ことを、
思う存分やりきる。

側溝にはまる。
木に登る。
水を浴びる。
鼻水を垂らす。
落としたかき氷を食べる。
雪に身体を投げ出し、
頬を赤らめる。




世界ってこんなにキラキラしたものに
満ち溢れていたかしら?
こんなにおもしろかったかしら?
なんて、
自分の周りを今一度見回したくなる。

「もう一度、驚きに溢れた世界に出会えるかしら?」


3)
そして、展示会場はその希望にしっかりと答えてくれる。

本展を担当するのは、写真集「未来ちゃん」の
ブックデザインを手掛けたブックデザイナー、
祖父江慎さん。
会場は先が見えないように仕切られていたり、
段差があったり、
思いもよらぬところに写真があったり、
壁に穴があいていたり、
そんな構造になってる。

そこで僕らは、「未来ちゃんと出会う」。

角を曲がれば大きく印刷された、どアップの未来ちゃん。
その登場に驚く。

ふと上を見上げれば、
カーテンみたいなものに印刷された未来ちゃん。

しっかりしゃがみ込まないと見つからないところにも、
小さく未来ちゃん。

写真展を見るのに、
視点や身体の動きで少し疲れる笑


そして、「お客さんと出会う」。

壁には切り取られた四角い穴。
向こう側にも作品が…と思って覗き込むと、
向こうのお客さんも同時に覗き込んできてびっくり。

向こう側に行った後、
もう壁の穴のことはわかっているんだけど、
それでももう一度、さっきいた場所を覗き込むと、
お客さんと目が合って恥ずかしくなったり。


そんな、出会いが作られている会場。
ドギマギ。


4)
小さな未来ちゃんは、
未だ見ぬ世界と出会い、
むきだしに反応し、
世界を楽しむ。

大人になった僕らは、
先の分かりづらい会場に迷い込み、未来ちゃんやお客さんと出会い、
驚いたり、恥ずかしがったり、ドギマギと反応し、
写真展を楽しむ。

未来ちゃんが出会う世界は、
よくわからないもの、未だ知らぬもの。
それを未来と言ってもいいと思う。
もちろん、敏子計画では、それを非日常と言ってもいいと思う。

そんな非日常に出会って、
ありのまま反応し、世界を楽しむ未来ちゃん。

(そのリアクションがあまりに可愛いし、
面白いし、むきだしであるか、未来ちゃんは
素晴らしいエネルギーを持っているのよね。)

僕らは非日常に出会って、
どう反応して、どう理解していこうかしら。

そんなことを思った未来ちゃん展。

さぁ、非日常へようこそ。